GIFT
「そうなんだ…。実は時計を抜き取った日の夜なんだけど、気になって中々寝付けなかったんだ。それで夜中に水を飲みにキッチンに行くと、椅子に座った葵の姿があった。話しかけようとしたけど葵の様子がおかしかったし、よく見ると手には時計のケースがあったから、隠れて見守っていたんだ」
「・・・・・」
「ごめん…。そしてその直後、もの凄い耳鳴りと頭痛に襲われたんだ。僕は立っていられなくなってその場に膝をついて頭を抱え込んでいた。しばらくして耳鳴りと頭痛がなくなったので顔を上げると、先程まで葵の手の中にあった時計のケースが消えてなくなっていたんだ。未来に送ったんだと直ぐにわかったよ。でも、時計のケースの中身は空…」
「そうだったんだ。私は何も知らなかったんだね」
「それより、いい事教えてあげるよ」
「何?」
「和室にあるタンスの上から2段目の引き出しの奥を見てごらんよ」
「わかった」
葵は和室のある隣の部屋に走って行った。
しばらくして戻った葵の手にはリボンのついた小さな箱があった。
「瑛太、これ何?」
「君へのプレゼントだよ」
「ホッ‥ホントに?でも今日は何の日でもないよ」
「いつも遥香のために頑張って色んな物を用意してくれてるお礼だよ。それに僕のために、時計のケースを未来に送ってくれた」
「ありがとう…開けていいの?」
「どうぞ」
葵は箱からそれを取り出すとおもむろに首に下げた。
数年前に流行っていたブランドのネックレスだった。
「嬉しい…」
過去の僕は、それを葵には渡していない。
現在に至るまで。
だから僕と一緒にいた葵がそれを首から下げた事は1度もない。
でも、僕とテレビ電話で話している過去の葵はそれをしている。
過去が変わった。
ふとリビングにある葵の写真に目が行った。
僕の知っている葵はネックレスやブレスレットなどの装飾品を身につける事は殆んどなかった。
でも、そこには…
僕があげたネックレスをしている葵が写っていた。
写真が変わっていた。
すると葵を映していた映像が、突然“ガタガタ”という音と共に映像が乱れ、次には天井が映し出されていた。
そして…葵の泣いている声だけが聞こえてきた。
...数年後
遥香は小学校に入学した。
遥香は親の僕が言うのもなんだが、本当に可愛らしく明るく元気で優しい子だった。
だから、何もしなくても遥香の回りには多くの友達が集まってきたし、男女隔てなく友達が沢山いた。
クラスで1人ぼっちの子がいれば、呼んで来ては一緒に遊んだ。
そして何より、遥香が小学生になって1番心配していたのは、遥香の持っている能力の事だった。
僕は遥香に「学校で能力を使っては絶対にダメ」と言い続けてきた。
未だに僕は、遥香がどんな能力を持っているのか把握しきれていなかったのに、遥香の能力を禁じた。
何故なら能力の使い方、コントロールの仕方も知らない半人前以下の遥香が、能力を使って回りの人を危険にさらしてしまう恐れがあったからだ。
それに、その力をクラスの友達に見られでもしたらイジメにあったりするかもしれない。
だから僕は厳しく能力の使用を禁じた。
でも、いつまでもこのままという訳にはいかないだろう。
誰か遥香に能力の使い方を教えてくれる先生のような存在が必要だった。
先生か…
あっ…
そういえば…
【は~ちゃんには、素晴らしい能力者の先生が、能力の使い方を教えてくれるし、全力で守ってくれる。正しい道に導いてくれるから大丈夫だよ】
葵が言った言葉を思い出した。
葵によると、遥香は能力の使い方を教えてくれる先生に出会うという事らしい。
でも、そんな先生何処にいるんだ?
そんな時だった…。
「・・・・・」
「ごめん…。そしてその直後、もの凄い耳鳴りと頭痛に襲われたんだ。僕は立っていられなくなってその場に膝をついて頭を抱え込んでいた。しばらくして耳鳴りと頭痛がなくなったので顔を上げると、先程まで葵の手の中にあった時計のケースが消えてなくなっていたんだ。未来に送ったんだと直ぐにわかったよ。でも、時計のケースの中身は空…」
「そうだったんだ。私は何も知らなかったんだね」
「それより、いい事教えてあげるよ」
「何?」
「和室にあるタンスの上から2段目の引き出しの奥を見てごらんよ」
「わかった」
葵は和室のある隣の部屋に走って行った。
しばらくして戻った葵の手にはリボンのついた小さな箱があった。
「瑛太、これ何?」
「君へのプレゼントだよ」
「ホッ‥ホントに?でも今日は何の日でもないよ」
「いつも遥香のために頑張って色んな物を用意してくれてるお礼だよ。それに僕のために、時計のケースを未来に送ってくれた」
「ありがとう…開けていいの?」
「どうぞ」
葵は箱からそれを取り出すとおもむろに首に下げた。
数年前に流行っていたブランドのネックレスだった。
「嬉しい…」
過去の僕は、それを葵には渡していない。
現在に至るまで。
だから僕と一緒にいた葵がそれを首から下げた事は1度もない。
でも、僕とテレビ電話で話している過去の葵はそれをしている。
過去が変わった。
ふとリビングにある葵の写真に目が行った。
僕の知っている葵はネックレスやブレスレットなどの装飾品を身につける事は殆んどなかった。
でも、そこには…
僕があげたネックレスをしている葵が写っていた。
写真が変わっていた。
すると葵を映していた映像が、突然“ガタガタ”という音と共に映像が乱れ、次には天井が映し出されていた。
そして…葵の泣いている声だけが聞こえてきた。
...数年後
遥香は小学校に入学した。
遥香は親の僕が言うのもなんだが、本当に可愛らしく明るく元気で優しい子だった。
だから、何もしなくても遥香の回りには多くの友達が集まってきたし、男女隔てなく友達が沢山いた。
クラスで1人ぼっちの子がいれば、呼んで来ては一緒に遊んだ。
そして何より、遥香が小学生になって1番心配していたのは、遥香の持っている能力の事だった。
僕は遥香に「学校で能力を使っては絶対にダメ」と言い続けてきた。
未だに僕は、遥香がどんな能力を持っているのか把握しきれていなかったのに、遥香の能力を禁じた。
何故なら能力の使い方、コントロールの仕方も知らない半人前以下の遥香が、能力を使って回りの人を危険にさらしてしまう恐れがあったからだ。
それに、その力をクラスの友達に見られでもしたらイジメにあったりするかもしれない。
だから僕は厳しく能力の使用を禁じた。
でも、いつまでもこのままという訳にはいかないだろう。
誰か遥香に能力の使い方を教えてくれる先生のような存在が必要だった。
先生か…
あっ…
そういえば…
【は~ちゃんには、素晴らしい能力者の先生が、能力の使い方を教えてくれるし、全力で守ってくれる。正しい道に導いてくれるから大丈夫だよ】
葵が言った言葉を思い出した。
葵によると、遥香は能力の使い方を教えてくれる先生に出会うという事らしい。
でも、そんな先生何処にいるんだ?
そんな時だった…。