GIFT
「もちろん憶えてる…。仲村さんに命懸けで救ってもらったのに、僕は死んで償おうとした…。あの時僕は葵の制止にも耳を傾けず、高校の屋上から飛び降りた。その瞬間“ゴォォォー”という風の音と同時に、物凄い衝撃波みたいな物がぶつかってきた。そして僕は吹き飛ばされて後方のフェンスに叩きつけられた。その時聞いたのが遥香が言ったさっきの言葉だ。まさか…僕の命を救ってくれたのが遥香だったとは夢にも思わなかったけど…」
「大好きなパパに死なれたら悲しいし、もしパパがあの時死んでたら私は生まれてこなくなっちゃうでしょ?そうしたら私が救って来た人たちも存在しなくなっちゃう…」
「僕はあの時…悲しみ、苦しみから逃げて楽になろうとした。自分勝手に死を選んだ…。僕の命が尊き命をこの世に誕生させ、その命が多くの命を救っていくなんて知る由もなかった。命を繋いでいく事になるなんて考えもつかなかった」
「そうだよ。人は簡単に死を選んだらダメなんだよ。私たち人間は、1人1人が未来の誰かと繋がってる。そして、人は自分の知らない所で誰かを救い、誰かの力になってるかもしれない。そういう事を知っていて欲しいし、忘れないでいて欲しいの。そうすればきっと人の命というものが、とてつもなく尊きものだとわかると思うから…。能力で人を救ってきた私だからわかるの…」
「そうだね…。遥香の言う通りだ」
まさか、自分の娘に命を救ってもらったうえに、大切な事を教わるなんて…。
再び僕は遥香を抱きしめた。
やっぱり葵と同じ感触、同じ匂いがした。
「ママと同じでしょ?」
「何が?」
「ママと同じ匂いがしたでしょ?」
「あぁ…」
「ママと同じ香水を使ってみたの。パパに喜んでもらいたくて。でも、抱きしめた感触まではママと同じという訳にはいかないけど…」
「同じだよ。ママを抱きしめた時と同じ感触がした」
「本当?」
腕の中の遥香は嬉しそうな顔をしながら、僕を見上げて聞いてきた。
「本当だよ」
「やったぁ、ママと一緒だ。って事は私もママみたいに良い女って事?」
「そうかもな。でも、ママに勝てる女性はいないよ」
「今はね…。でも、いつかはママみたいに素敵な女性になってパパをギャフンと言わせてみせるんだから」
「楽しみにしてるよ」
言葉にするのは小っ恥ずかしくて言わなかったけど、遥香はいつの間にか葵と同じように素敵な女性になっていた。
「大好きなパパに死なれたら悲しいし、もしパパがあの時死んでたら私は生まれてこなくなっちゃうでしょ?そうしたら私が救って来た人たちも存在しなくなっちゃう…」
「僕はあの時…悲しみ、苦しみから逃げて楽になろうとした。自分勝手に死を選んだ…。僕の命が尊き命をこの世に誕生させ、その命が多くの命を救っていくなんて知る由もなかった。命を繋いでいく事になるなんて考えもつかなかった」
「そうだよ。人は簡単に死を選んだらダメなんだよ。私たち人間は、1人1人が未来の誰かと繋がってる。そして、人は自分の知らない所で誰かを救い、誰かの力になってるかもしれない。そういう事を知っていて欲しいし、忘れないでいて欲しいの。そうすればきっと人の命というものが、とてつもなく尊きものだとわかると思うから…。能力で人を救ってきた私だからわかるの…」
「そうだね…。遥香の言う通りだ」
まさか、自分の娘に命を救ってもらったうえに、大切な事を教わるなんて…。
再び僕は遥香を抱きしめた。
やっぱり葵と同じ感触、同じ匂いがした。
「ママと同じでしょ?」
「何が?」
「ママと同じ匂いがしたでしょ?」
「あぁ…」
「ママと同じ香水を使ってみたの。パパに喜んでもらいたくて。でも、抱きしめた感触まではママと同じという訳にはいかないけど…」
「同じだよ。ママを抱きしめた時と同じ感触がした」
「本当?」
腕の中の遥香は嬉しそうな顔をしながら、僕を見上げて聞いてきた。
「本当だよ」
「やったぁ、ママと一緒だ。って事は私もママみたいに良い女って事?」
「そうかもな。でも、ママに勝てる女性はいないよ」
「今はね…。でも、いつかはママみたいに素敵な女性になってパパをギャフンと言わせてみせるんだから」
「楽しみにしてるよ」
言葉にするのは小っ恥ずかしくて言わなかったけど、遥香はいつの間にか葵と同じように素敵な女性になっていた。