GIFT
それから美咲さんのいる場所まで遥香の体を支えながら歩いて向かった。
「美咲ちゃん…」
遥香は美咲さんの姿が見えてくると、手を振って名前を呼んでいた。
「はるちゃん?」
美咲さんは僕の隣にいる遥香の姿を見るなり、目を丸くして驚いていた。
「美咲ちゃ~ん」
遥香は美咲さんの所まで駆け寄ると、思い切り抱きついた。
「はるちゃん…よかったぁ。安心したよ」
「うん…」
遥香の身長は既に美咲さんを越えていた。
そんな遥香が美咲さんに抱きつき甘えている姿は、何だか妙に心に“グッ”ときた。
遥香にとって美咲さんは母親同然というか母親なんだと改めて実感した。
「はるちゃん、葵ちゃんから誕生日プレゼントが届いてるよ」
「うっ‥うん…」
「知ってた?」
「知ってたけど、私がここに来たのはプレゼントがあるからじゃなくて、パパと美咲ちゃんに会いたかったからだよ」
「そんな事わかってる。ねぇ、美咲さん?」
僕は美咲さんにウインクで合図を送った。
「あったり前でしょ。私がはるちゃんを育ててきたんだよ。それぐらいわからなきゃ母親失格だよ」
「みさ…き……おっ‥お母さん…」
「はるちゃん…」
「んっ、んんっ…」
僕は“そうじゃないだろ”と言わんばかりに、美咲さんに向けてわざと咳払いをした。
「遥香…」
「お母さん…」
「遥香は、私の大切な子だよ。私が一生守って行く」
「うん…」
とてもいいシーンだけど、僕1人仲間はずれにされたような気分になった。
それに美咲さんが遥香の母親になるという事は、僕との関係は?
「パパ、お願いがあるの?」
「何だ?言ってみなよ」
「美咲ちゃんと結婚して。お願いっ」
遥香は、2人の様子を少し離れた場所で見ていた僕の所までやって来ると、とんでもない事を耳元で囁いた。
「遥香、お前なぁ…」
「嫌じゃないよね?」
「嫌じゃないけど…」
「嫌じゃないなら何?」
遥香はハッキリしない僕の態度にイラついていた。
「もう少し時間が欲しい」
「そんな事言ってたら、パパはおじいちゃんになっちゃうからね」
「わかってる…」
わかってるけど、葵が僕の中にまだいるっていうのに、そんな簡単に踏み出せる訳がなかった。
それに、葵は僕らの前に最後にもう1度だけ現れると言っていた。
それまでは答えを出したくなかった。
...20XX年4月某日
遥香が高校を卒業して2年が経っていた。
遥香は今、地元の市役所で働いている。
そして今日は、日曜だというのに朝から家の中はバタバタしていた。
何故なら、遥香が男を家に連れて来るからだった。
たとえ愛する娘の遥香の頼みでも、そんな男になど会いたくはなかった。
家に連れて来るのは構わないが、僕には関係のない事だし会うつもりなど全くなかった。
2日前…
「パパは絶対に会わないからな…」
「ちょっと待ってよ。どうして会ってくれないの?」
「会いたくないから会わないって言ってるんだ」
「理由になってないよっ。大事な話があるの。彼に会って話を聞いて欲しいの」
「美咲ちゃん…」
遥香は美咲さんの姿が見えてくると、手を振って名前を呼んでいた。
「はるちゃん?」
美咲さんは僕の隣にいる遥香の姿を見るなり、目を丸くして驚いていた。
「美咲ちゃ~ん」
遥香は美咲さんの所まで駆け寄ると、思い切り抱きついた。
「はるちゃん…よかったぁ。安心したよ」
「うん…」
遥香の身長は既に美咲さんを越えていた。
そんな遥香が美咲さんに抱きつき甘えている姿は、何だか妙に心に“グッ”ときた。
遥香にとって美咲さんは母親同然というか母親なんだと改めて実感した。
「はるちゃん、葵ちゃんから誕生日プレゼントが届いてるよ」
「うっ‥うん…」
「知ってた?」
「知ってたけど、私がここに来たのはプレゼントがあるからじゃなくて、パパと美咲ちゃんに会いたかったからだよ」
「そんな事わかってる。ねぇ、美咲さん?」
僕は美咲さんにウインクで合図を送った。
「あったり前でしょ。私がはるちゃんを育ててきたんだよ。それぐらいわからなきゃ母親失格だよ」
「みさ…き……おっ‥お母さん…」
「はるちゃん…」
「んっ、んんっ…」
僕は“そうじゃないだろ”と言わんばかりに、美咲さんに向けてわざと咳払いをした。
「遥香…」
「お母さん…」
「遥香は、私の大切な子だよ。私が一生守って行く」
「うん…」
とてもいいシーンだけど、僕1人仲間はずれにされたような気分になった。
それに美咲さんが遥香の母親になるという事は、僕との関係は?
「パパ、お願いがあるの?」
「何だ?言ってみなよ」
「美咲ちゃんと結婚して。お願いっ」
遥香は、2人の様子を少し離れた場所で見ていた僕の所までやって来ると、とんでもない事を耳元で囁いた。
「遥香、お前なぁ…」
「嫌じゃないよね?」
「嫌じゃないけど…」
「嫌じゃないなら何?」
遥香はハッキリしない僕の態度にイラついていた。
「もう少し時間が欲しい」
「そんな事言ってたら、パパはおじいちゃんになっちゃうからね」
「わかってる…」
わかってるけど、葵が僕の中にまだいるっていうのに、そんな簡単に踏み出せる訳がなかった。
それに、葵は僕らの前に最後にもう1度だけ現れると言っていた。
それまでは答えを出したくなかった。
...20XX年4月某日
遥香が高校を卒業して2年が経っていた。
遥香は今、地元の市役所で働いている。
そして今日は、日曜だというのに朝から家の中はバタバタしていた。
何故なら、遥香が男を家に連れて来るからだった。
たとえ愛する娘の遥香の頼みでも、そんな男になど会いたくはなかった。
家に連れて来るのは構わないが、僕には関係のない事だし会うつもりなど全くなかった。
2日前…
「パパは絶対に会わないからな…」
「ちょっと待ってよ。どうして会ってくれないの?」
「会いたくないから会わないって言ってるんだ」
「理由になってないよっ。大事な話があるの。彼に会って話を聞いて欲しいの」