GIFT
救いたい命
...あれから1週間が経った。
学校が終わると、葵さんから隣町の大学病院に行こうと誘われた。
色々あり過ぎて忘れていたが、あの病院には葵さんが度々お見舞いに訪れていた茉菜ちゃんが未だに入院していた。
僕が入院している間も、顔を出していたようだ。
でも急にどうしたのだろう?
いつもなら数日前には言ってくれるのに…。
当日なんて初めてだった。
それに葵さんは待ち合わせ場所を学校ではなく、何故か駅にしようと言ってきた。
駅に行き、改札口に向かって歩いていると葵さんの姿が目に入ってきた。
「お待たせしました。何かあったんですか?」
「茉菜ちゃんの容態が良くないんです」
「危険な状態という事ですか?」
「はい…意識が戻らないんです。茉菜ちゃんの病気は現代の医療では治せません。症状を抑えるだけなんです。でも、その薬でさえ効かなくなってきているようなんです」
「そんな…それじゃあ、何もしないで死ぬのを待てって事ですか?」
「そんな事言ってません。私だって助けられるものなら助けたいです。私に未来を見る能力じゃなくて病を治せる力があれば…」
葵さんは、悔しそうに唇を噛み締めていた。
「すいません…。葵さんのせいじゃないのに、責めるような言い方をしてしまって…」
「いいんです。助けられないのは事実ですから…」
それから僕らは電車を乗り継いで隣町の大学病院に向かった。
病院に着くと、葵さんは歩きながら何かを呟いていた。
「わかった」
葵さんは頷き…そう言った。
「えっ…今の何?」
「別に何でもないです…」
「でも今“わかった”とか何とか言ってましたよね?」
「実は…」
「何ですか?言って下さい」
「茉菜ちゃんと話をしていたんです」
「茉菜ちゃんと?いつですか?」
「今です」
「今?ちょっと待って下さい。茉菜ちゃんが危険な状態って言ったのは葵さんじゃないですか…。そんな茉菜ちゃんと、どうやって話をするんですか?」
「テレパシーです」
「テレパシー?人の頭の中に直接話しかけるとか言うやつですか?」
僕は、あからさまに不快な顔をしてしまった。
「そうです…」
葵さんは、そんな僕の表情を見逃すはずはなく、少しばかり悲しそうな顔をした。
「べっ‥別に信じていない訳じゃありません。ただ…」
「わかってます。もういいですよ…」
学校が終わると、葵さんから隣町の大学病院に行こうと誘われた。
色々あり過ぎて忘れていたが、あの病院には葵さんが度々お見舞いに訪れていた茉菜ちゃんが未だに入院していた。
僕が入院している間も、顔を出していたようだ。
でも急にどうしたのだろう?
いつもなら数日前には言ってくれるのに…。
当日なんて初めてだった。
それに葵さんは待ち合わせ場所を学校ではなく、何故か駅にしようと言ってきた。
駅に行き、改札口に向かって歩いていると葵さんの姿が目に入ってきた。
「お待たせしました。何かあったんですか?」
「茉菜ちゃんの容態が良くないんです」
「危険な状態という事ですか?」
「はい…意識が戻らないんです。茉菜ちゃんの病気は現代の医療では治せません。症状を抑えるだけなんです。でも、その薬でさえ効かなくなってきているようなんです」
「そんな…それじゃあ、何もしないで死ぬのを待てって事ですか?」
「そんな事言ってません。私だって助けられるものなら助けたいです。私に未来を見る能力じゃなくて病を治せる力があれば…」
葵さんは、悔しそうに唇を噛み締めていた。
「すいません…。葵さんのせいじゃないのに、責めるような言い方をしてしまって…」
「いいんです。助けられないのは事実ですから…」
それから僕らは電車を乗り継いで隣町の大学病院に向かった。
病院に着くと、葵さんは歩きながら何かを呟いていた。
「わかった」
葵さんは頷き…そう言った。
「えっ…今の何?」
「別に何でもないです…」
「でも今“わかった”とか何とか言ってましたよね?」
「実は…」
「何ですか?言って下さい」
「茉菜ちゃんと話をしていたんです」
「茉菜ちゃんと?いつですか?」
「今です」
「今?ちょっと待って下さい。茉菜ちゃんが危険な状態って言ったのは葵さんじゃないですか…。そんな茉菜ちゃんと、どうやって話をするんですか?」
「テレパシーです」
「テレパシー?人の頭の中に直接話しかけるとか言うやつですか?」
僕は、あからさまに不快な顔をしてしまった。
「そうです…」
葵さんは、そんな僕の表情を見逃すはずはなく、少しばかり悲しそうな顔をした。
「べっ‥別に信じていない訳じゃありません。ただ…」
「わかってます。もういいですよ…」