GIFT
そんな顔をされたら、何の話なのか余計に気になる。
気になって授業どころではなかった。
そんな調子で授業を受けていたので、松下から目をつけられてしまった。
「紺野、いい度胸してるな?」
「なっ‥何の事ですか?」
「私の授業はつまらねえか?」
「そんな事はありません」
「今度、ボーッとしてたらただじゃおかねえからなっ」
「わかりましたっ」
危なかった…。
でも、何とか乗り切れる事が出来た。
また葵さんはと言うと、いつものように教室を出て行くと、それっきり戻ってくる事はなかった。
そして、葵さん不在のまま帰りのホームルームが終わり、僕は急いで公園に向かった。
公園に到着したものの、野球をしている小学4、5年生の男子が3人いる程度で、葵さんの姿はどこにも見当たらなかった。
というか…結局葵さんは教室には戻って来なかった訳だから、ここに来れるかどうかもわからなかった。
時計を見ると、既に時刻は夕方の5時を回っていた。
仕方なくブランコに乗って時間を潰す事にした。
すると5分するかしないくらいで、公園の入り口から葵さんがやって来るのが見えたので、ブランコから勢いよく飛び降りた。
格好つけたものの、着地した地面に滑って思い切り尻もちをついてしまった。
「いってぇ…」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫…」
そんな僕の様子を見て、葵さんは慌てて駆け寄って来てれた。
「気をつけなきゃ」
変な違和感を覚えた。
「葵さん…じゃないよね?」
「瑛太さん…どうしてここに?」
僕の目の前に現れたのは、葵さんではなく…
亜季ちゃんだった。
「葵さんが話があるから公園に来てくれって…」
「私も葵ちゃんに“公園で待ってて”って言われたから…」
まさかっ…
僕と亜季ちゃんを会わせる為に2人を呼び出して、話す機会を作ってくれた…。
「そうみたいですね…」
「なっ‥何が?」
「葵ちゃんが、私たちを会わせる為に嘘をついて呼び出した事です」
「葵さんは何でそんな事を?」
「きっと、私と瑛太さんを思っての事…葵ちゃんは例え未来が変わってしまったとしてもいいと思ったんじゃないかと…。悲しい選択だったと思います」
それで、あんな悲しそうな顔をしていたんだ…。
こんな事してくれなくてよかったのに…。
自分がツライだけなのに、無理しちゃって…。
「亜季ちゃんに聞きたい事があるんだ」
「私が外国に行ってしまうかって事ですよね?」
「うん、本当なの?」
「本当です。3日後に出発する予定です」
「どうして…そんな急に?」
「前からずっと考えてはいました。それ以前に…私は日本に来るべきではなかったと思っています」
「日本に来なければ僕たちは出逢わなかったんだよ。それでも、その方が良かったって言うの?」
「はい…今はそう思ってます。後悔しています」
「どうして?どうしてそんな悲しい事が言えるのさ」
「・・・・・」
「僕は、亜季ちゃんに出逢えて、本当に良かったと思ってる。亜季ちゃんは違うの?」
「私は…早くニューヨークに帰りたい。もう…ここにはいたくない」
「亜季ちゃん、僕は亜季ちゃんの事が今でも好きだ。短い時間だったけど、亜季ちゃんと一緒に過ごした時間は僕の人生の中でも本当に幸せな一時だった。一生忘れる事の出来ないかけがえのない時間だった。だから…それを壊すような事は言わないでよ。お願いだよ…」
「だって…だって…瑛太さんに出逢わなければ、こんなに好きにならずにすんだじゃないですか…。こんなに切なくて、悲しくて、苦しい思いもせずにいられたじゃないですか…。私だって、好きって言いたかった…。世界で1番大好きな人に好きって言われて素直に喜びたかった…。強く抱きしめて欲しかった…。キスだってして欲しかった…。でもそれは許されない…。私と瑛太さんは結ばれてはいけないんですから…」
気になって授業どころではなかった。
そんな調子で授業を受けていたので、松下から目をつけられてしまった。
「紺野、いい度胸してるな?」
「なっ‥何の事ですか?」
「私の授業はつまらねえか?」
「そんな事はありません」
「今度、ボーッとしてたらただじゃおかねえからなっ」
「わかりましたっ」
危なかった…。
でも、何とか乗り切れる事が出来た。
また葵さんはと言うと、いつものように教室を出て行くと、それっきり戻ってくる事はなかった。
そして、葵さん不在のまま帰りのホームルームが終わり、僕は急いで公園に向かった。
公園に到着したものの、野球をしている小学4、5年生の男子が3人いる程度で、葵さんの姿はどこにも見当たらなかった。
というか…結局葵さんは教室には戻って来なかった訳だから、ここに来れるかどうかもわからなかった。
時計を見ると、既に時刻は夕方の5時を回っていた。
仕方なくブランコに乗って時間を潰す事にした。
すると5分するかしないくらいで、公園の入り口から葵さんがやって来るのが見えたので、ブランコから勢いよく飛び降りた。
格好つけたものの、着地した地面に滑って思い切り尻もちをついてしまった。
「いってぇ…」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫…」
そんな僕の様子を見て、葵さんは慌てて駆け寄って来てれた。
「気をつけなきゃ」
変な違和感を覚えた。
「葵さん…じゃないよね?」
「瑛太さん…どうしてここに?」
僕の目の前に現れたのは、葵さんではなく…
亜季ちゃんだった。
「葵さんが話があるから公園に来てくれって…」
「私も葵ちゃんに“公園で待ってて”って言われたから…」
まさかっ…
僕と亜季ちゃんを会わせる為に2人を呼び出して、話す機会を作ってくれた…。
「そうみたいですね…」
「なっ‥何が?」
「葵ちゃんが、私たちを会わせる為に嘘をついて呼び出した事です」
「葵さんは何でそんな事を?」
「きっと、私と瑛太さんを思っての事…葵ちゃんは例え未来が変わってしまったとしてもいいと思ったんじゃないかと…。悲しい選択だったと思います」
それで、あんな悲しそうな顔をしていたんだ…。
こんな事してくれなくてよかったのに…。
自分がツライだけなのに、無理しちゃって…。
「亜季ちゃんに聞きたい事があるんだ」
「私が外国に行ってしまうかって事ですよね?」
「うん、本当なの?」
「本当です。3日後に出発する予定です」
「どうして…そんな急に?」
「前からずっと考えてはいました。それ以前に…私は日本に来るべきではなかったと思っています」
「日本に来なければ僕たちは出逢わなかったんだよ。それでも、その方が良かったって言うの?」
「はい…今はそう思ってます。後悔しています」
「どうして?どうしてそんな悲しい事が言えるのさ」
「・・・・・」
「僕は、亜季ちゃんに出逢えて、本当に良かったと思ってる。亜季ちゃんは違うの?」
「私は…早くニューヨークに帰りたい。もう…ここにはいたくない」
「亜季ちゃん、僕は亜季ちゃんの事が今でも好きだ。短い時間だったけど、亜季ちゃんと一緒に過ごした時間は僕の人生の中でも本当に幸せな一時だった。一生忘れる事の出来ないかけがえのない時間だった。だから…それを壊すような事は言わないでよ。お願いだよ…」
「だって…だって…瑛太さんに出逢わなければ、こんなに好きにならずにすんだじゃないですか…。こんなに切なくて、悲しくて、苦しい思いもせずにいられたじゃないですか…。私だって、好きって言いたかった…。世界で1番大好きな人に好きって言われて素直に喜びたかった…。強く抱きしめて欲しかった…。キスだってして欲しかった…。でもそれは許されない…。私と瑛太さんは結ばれてはいけないんですから…」