離婚前提から 始まる恋
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勇人と私が初めて言葉を交わしたのは今から7年も前。
当時高校3年生だった私が、夏休みの夏期講習のため友人数人と東京へ来ていた時のことだった。
ただ、もともと地元の私立高校に通っていた私は姉妹校である私大にしか行くつもりはなくて、まじめに勉強する気は無かった。
兄は子供の頃から勉強ができて有名国立大に行ったけれど、私は違う。いくら両親にそう言っても聞いてはもらえなくて、仕方なく友人を誘って夏期講習に参加しただけ。
実際は、最低限の授業だけ出てあとは東京観光を楽しんでいた。
その日も友人たちと、雑誌で見つけレストランで食事をしていた。

「うぅーん、美味しい」

普段は食べることのないオシャレな料理と綺麗な色のドリンク。
もちろん最初はノンアルのドリンクを選んでいたけれど、そのうち誰かがアルコールの入ったカクテルを注文しだして、私の前にもカクテルが置かれた。
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