離婚前提から 始まる恋
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昨日の夜、花音のことが気になった俺は、無理やり仕事を片付けていつもより早い時間に帰宅した。
当然花音が待っているのだと疑ってもいなかった。
しかし、部屋は真っ暗で花音が帰った痕跡もなく、キッチンもリビングもバスルームも朝出た時のまま。
すぐに花音に電話入れたが、コールはするものの出る様子はない。
俺は部屋の中をウロウロしながら、何度も何度も電話をかけた。
けれど花音の行く先はわからない。
少し前に酔いつぶれて帰ってきたときに、「もう二度と外でお酒は飲まないから」と約束してくれたし、「出かける時には知らせてくれ。必ず迎えに行くから」と言った俺に頷いてもくれたから、かえって心配で仕方がなかった。
いっそ警察に届けようかと思ったが、もう少し待ってみようと思いとどまり、それから待つこと約二時間。
いい加減限界を感じて近くを探しに出ようとした時、玄関の扉が開いた。