離婚前提から 始まる恋
8月の中旬。
世間ではお盆の時期。
私と勇人は実家に帰省した。

帰省とは言っても関東近県だから車で2時間ほど。
いくら混雑していても日帰りできない距離ではない。
それでも翌日に行われるパーティーに出席するためにと言われれば泊まりがけで帰省するしかなくて、結局週末2日間を潰すことになった。

「花音、それが終わったらお客様用のグラスを出してくれる?」
「ハーイ」

バタバタと忙しそうに動き回る母さんは、言いたいことを言うとまた消えて行った。

パーティーは自宅と庭の敷地全部を使ってのホームパーティー。
ただそこは田舎のあるあるで、家も庭やたらと広い。
その庭にはすでに照明やテーブルが設置されていているし、庭から続く大広間にはホテルから届く料理と母の手料理とが並べられるようにセッティングがされている。

「花音さん、お花が届きましたが・・・」
お手伝いに来ていた女性がお花の配置を確認に来た。

「えっと、一番大きなアレンジはステージにおいて、後は各テーブル用だと思うけれど・・・一応母に確認してください」
「はい」

今回の参加予定は約300人。
その料理やお酒の手配だけでも相当な労力だと思う。
それを母一人でやっているだから、大変だろうな。
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