離婚前提から 始まる恋
「電話大丈夫なの?」
お客様が帰り、お見送りが終わったところで尋ねた。

「里佳子からの電話だった」
「じゃあ、仕事で何か?」
「ああ、トラブルがあったらしい」

こんなタイミングだから、きっとそうなのかなって思っていたけれど・・・

「帰らなくていいの?」
「どうしても戻らないといけないようなら、また里佳子がかけてくるはずだ」
「そう。でも、帰った方がいいんじゃないの?」

里佳子さんがわざわざかけるってことは、勇人が必要だってことだと思う。
勇人だって仕事が気になっているはずだし。

「お義父さんもお義母さんもせっかく明日の準備をしてくださっているんだ、できればこのまま残りたい」
「そんなこと言ったって」

それで勇人の仕事に影響が出るようなら本末転倒。
そんなこと誰も望んではいない。

ブブブ ブブブ
ちょうどこのタイミングで、勇人のスマホがもう一度震えた。
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