離婚前提から 始まる恋
「嫌なものを無理に一緒にいろと言うつもりは無いが、ちゃんと考えろよ」
「わかっているわ」

この一年数ヶ月、毎日そのことを考えてきたんだもの。

「選択を誤れば、一生後悔することになるんだからな」
「うん」
兄として、勇人の友人として、言いたいこともたくさんあるはずなのに、それだけ言って部屋を出て行った兄。

その夜、私はまた眠れないまま朝を迎えた。
最近は眠れなくて、食べられない。
体調不良もずっと続いていて、実家で静養しろと言う勇人や尊人さんの言葉もあながち間違っていないと痛感している。
いい加減何とかしなくてはと思いながら、自分ではどうすることもできない。
久しぶりに実家へ帰り用意してもらった母の手料理もスープくらいしか喉を通らなくて、このまま実家にいることもまたストレスになると感じた私は、東京に戻ることにした。
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