離婚前提から 始まる恋

ブブブ。
ちょうど里佳子に言い負かされたタイミングで、内線が鳴った。

「はい、副社長室です。はい、はい、わかりました。では応接室にご案内してください」

どうやら受付から来客の連絡が入ったようだ。
しかし、この時間に来客の約束はなかったはずだが・・・

「若狭真也さんがお見えです」
「えっ」
真也が？

「応接室にご案内しますので」

大学が同じだった里佳子は当然真也とも親しい友人。
だからこそ、予定外の面会のセッティングをしてくれたのだろう。

「次の予定までは30分ほどありますので手短にお願いします」
「ああ、わかった。ありがとう」

このタイミングで真也が現れるってこと自体嫌な予感しかしないが、とにかく会うしかなさそうだ。