離婚前提から 始まる恋
「お前たち、離婚するのか?」
「え?」

一瞬頭の中が真っ白になった。
まだ花音と話を詰めていない今、返答に困り動揺した。
「そんなことない」と誤魔化すべきなのか、「実は」と告白するべきか、どちらにしても花音と話さなければ決められない。

「花音から聞いたんだが、事実か?」
「それは・・・」

花音が話したのか。
と言うことは、花音はやはり離婚を望んでいるってことか。
であれば、俺がいくらあがいても仕方がない。

「お前のその顔は、本当みたいだな」
返事をしなくても、真也にはわかったらしい。

「すまない」

花音との見合い話が持ち上がった時、『自分の気持ちを押し殺して我慢するところがあるし、我慢が限界を超えて爆発すると過激な行動に出ることもある。そのくせ普段は寂しがり屋な子だから、気にかけてみてやってほしい』と真也に頭を下げられた。
その言葉を肝に銘じて大切にしてきたつもりだったが・・・

「お似合いだと思っていたんだがな」
ポツリと漏れた真也の言葉が俺に刺さる。

「心配をかけて申し訳ないが、もう少し時間をくれ。花音とちゃんと話をしてご両親にも説明に伺うつもりだから」
「わかった」

今何を言っても言い訳にしかならないだろう。
花音を幸せにできなかったのはすべて俺の責任だ。
とにかく一度、花音と話そう。
その時にはどんなにかっこ悪くても本心を伝えようと、俺は決心した。
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