離婚前提から 始まる恋

幸せ探し

誤解が解けてから2か月。
私は順調に妊娠4カ月を迎えた。
出産する病院についても随分悩んだけれど、大きなところの方が安心だろうからと三朝財閥系列の総合病院でお世話になることにした。
あれだけ辛かった悪阻にも体が慣れたようで、今では少しずつ普通の生活を取り戻しつつある。
ただ、問題なのは勇人の過保護と過干渉。
私が何をするにも後をついてくるし、掃除も洗濯も動き回るような家事は一切させてもらえない。
さすがに食事の支度はしているけれど、買い物も週末に勇人と一緒に行くようになって一人で出かけることもなくなってしまった。

「それにしてもすごいマンション」
「まあね」

今日は、珍しく平日に有休のとれた杏が遊びに来てくれて、リビングで一緒にお茶をいただいている。

「窓から見える景色も絶景ね」
「うん、それが自慢なの」

朝日や夕焼け、宝石をちりばめたような夜景を見ていると、本当に贅沢をしている気持になる。
お金があれば幸せだなんて思ったことはないけれど、私はすごく幸せ者だ。

「やっぱり旦那さんはお金持ちがいいわ」
「えっ?」

杏の言葉に含みを感じて、私は顔を上げた。
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