離婚前提から 始まる恋
「花音、疲れていないか?」
帰り道、いつものように勇人が気遣ってくれる。

「大丈夫、平気よ」
「疲れたらシートを倒して寝ていてもいいし、言ってくれればすぐに休憩をとるからな」
「はい」

最近の勇人はとても心配症で、常に私のことを気にかけてくれる。
でも、子供が生まれたら少しは変わるんだろうか?
この先の生活を思うと、正直不安な気持ちはなくならない。

「そろそろおなかがすいただろ?」
「ええ」

一時間ほど散歩した後だから、さすがにそろそろおなかも空いてきた。

「今日は地元のフレンチを予約したんだが、いいか?」
ちょっと不安そうに、チラリと勇人が私を見る。

「ええ、おまかせします」

勇人と二人でドライブして外食すれば、どんなものでもきっと美味しいはず。
それに、わざわざ勇人が選んでくれたお店なら、外れはないと思う。
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