離婚前提から 始まる恋
「さあ、着いたぞ」

海岸沿いに立つ小さな洋館に車を止めた勇人は、助手席に回ってドアを開けてくれた。

「ありがとう。ここがお店?」
「ああ。知り合いがやっている店で、地元の食材を使った料理が評判なんだ」
「そう、楽しみだわ」

お腹が大きくなったおかげで一度にたくさんの量を食べることはできないけれど、悪阻もなくなり肉も魚も生ものでも何でも食べられるようになった。
このあたりは海が近くて魚介も豊富だから、期待できそうね。

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
入口まで行くと女性がドアを開けて迎えてくれる。

「こんにちは、今日はお世話になります」

勇人も挨拶を交わし、私達は中へと入った。


うわ、素敵。
外観もかわいらしかったけれど、中もシンプルで洗練された造り。
広めのホールにテーブル席が全部で6つ。
奥には一段下がった窓際席のテーブルが3つ。
どれも贅沢にスペースをとってあり、かなりゆったりできる配置になっている。

「こちらのお席をご用意しましたが、よろしかったですか?」
「ええ、ありがとうございます」

案内されたのは窓際の中央席。
店の中でも一番海がきれいに見えるいい席だった。

それにしても・・・
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