離婚前提から 始まる恋
「花音が悪いわけじゃないでしょ？今回の休みだって、専務は承知していたわけだし、花音が文句を言われるいわれはないはずでしょ？何ではっきり言わないの」
一部始終を隣で見ていた杏が私の代わりに怒ってくれる。

「そりゃあそうなんだけれど、先輩たちだって仕事が増えて大変だったと思うのよ」
「だって、それは・・・」

確かに、家庭の事情にしては一週間の休暇は長いと思う。
私も最初はこんなに長い休暇をとるつもりは無くて、週末を利用して何回か帰省するつもりだったのに、「いいから行ってきなさい」と言ってくれたのは尊人さんの方。その言葉に押されてお休みをいただいた。
でも、今ここでそれを言ったところで何の解決にもならない。

「専務に話した方がいいわ」
「ダメよ。お願いだから何も言わないで」

尊人さんに言えばきっと先輩たちに注意してくれるだろうけれど、そんな事すれば先輩たちの怒りに油を注ぐだけで、この先仕事がしにくくなるのが目に見えている。

「花音は本当にそれでいいの？」
「うん、いいの」
できるだけ敵は作りたくないから。
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