離婚前提から 始まる恋
「待ってください、悪いのは私ですから」
その時、真っ白なカーテンの向こうから花音の声が聞こえてきた。

「あれ、花音ちゃん。気が付いたんだね」

近くにいた兄貴がカーテンを開けるのに続いて、俺も花音の元へと近づく。

「ごめんなさい」
俺の方を見ながら謝る花音。

「何で無理するんだよ。朝、体調が悪いなら休めって言ったよな？」
無事だったことにホッとする気持ちと同時に腹立たしい思いが込みあがってきて、つい強い口調になった。

「うん、そうだけれど・・・」
気のせいかな、花音の声が震えている。

「勇人もっと優しくしろよ。花音ちゃんは病人だぞ」
見かねた兄貴が俺に向かって語気を強める。

わかっているんだ。
辛いのは花音で、労わってやるのが俺の役目。
頭ではできているんだが、無理をする花音にイラついてしまった。

「あ、あぁー」

え？
花音、危ない。

ベッドから降りようとした花音が倒れ込む寸前で、俺が抱きかかえた。
< 37 / 233 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop