離婚前提から 始まる恋
「ねえ勇人」
「ん?」
「・・・何でもない」
言いかけて辞めてしまった花音が、何を言いたかったのかはなんとなく想像がつく。
きっと、今後の俺たちについての話をしたいんだろうな。
***
そもそも、俺と花音はお見合い結婚だった。
両方の実家の思惑に乗せられて親の言いなりに一緒になった。
忙しくて家庭的とはいえない親父を見てきた俺に結婚願望はなかったし、当時の俺は恋愛よりも趣味の機械いじりや始めたばかりの仕事の方が楽しかった。
そんな時に舞い込んできた見合い話。
うるさい両親を黙らせるには一度くらい会ってもいいかと了承し、写真も釣書も見ることなく挑んだお見合いの席にいたのが花音だった。
「えっ」
見た瞬間に声が出てしまったのを今でも覚えている。
花音は大学時代の友人である若狭真也の妹。
何度か真也の実家に泊まったこともある俺は当然彼女のことを覚えていた。
「若狭花音です」
「三朝勇人です」
お互い初対面でもないのに挨拶を交わし、帰る時には次に会う約束まで決められていた。
その後数回食事に行って、気が付けば両家顔合わせの日取りが決まり、いつの間にか結婚の方向で話が進んでしまった。
もちろん断るチャンスはあったし、黙って黙認したのは俺自身にその気があったからに他ならない。
でも、まだ大学を出たばかりの花音が結婚について本当はどう思っているんだろうと、ずっと気になっていた。
「ん?」
「・・・何でもない」
言いかけて辞めてしまった花音が、何を言いたかったのかはなんとなく想像がつく。
きっと、今後の俺たちについての話をしたいんだろうな。
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そもそも、俺と花音はお見合い結婚だった。
両方の実家の思惑に乗せられて親の言いなりに一緒になった。
忙しくて家庭的とはいえない親父を見てきた俺に結婚願望はなかったし、当時の俺は恋愛よりも趣味の機械いじりや始めたばかりの仕事の方が楽しかった。
そんな時に舞い込んできた見合い話。
うるさい両親を黙らせるには一度くらい会ってもいいかと了承し、写真も釣書も見ることなく挑んだお見合いの席にいたのが花音だった。
「えっ」
見た瞬間に声が出てしまったのを今でも覚えている。
花音は大学時代の友人である若狭真也の妹。
何度か真也の実家に泊まったこともある俺は当然彼女のことを覚えていた。
「若狭花音です」
「三朝勇人です」
お互い初対面でもないのに挨拶を交わし、帰る時には次に会う約束まで決められていた。
その後数回食事に行って、気が付けば両家顔合わせの日取りが決まり、いつの間にか結婚の方向で話が進んでしまった。
もちろん断るチャンスはあったし、黙って黙認したのは俺自身にその気があったからに他ならない。
でも、まだ大学を出たばかりの花音が結婚について本当はどう思っているんだろうと、ずっと気になっていた。