離婚前提から 始まる恋
夜9時過ぎには当選確実が出て、10時過ぎに始まった祝賀会は、日付が変わるころまで続いた。
ホスト役の私達も当然付き合うことになり、都内の自宅マンションに戻ったのは午前3時前。さすがにクタクタで着替えもせずにリビングのソファーに座り込んだ。

「お疲れ様、花音は大丈夫か？」
「私は平気よ。初めてでもないし、今週は会社から休暇をもらって選挙に専念させてもらったし。勇人の方こそ今日一日忙しかったでしょ？」
「慣れなくて大変ではあったけれど、俺は大丈夫だ」
「そう、ならいいけれど」

生まれた時からこの環境にいる私でも大変なのに、初めての勇人はきっと疲れただろうと思う。
私のことを知る人なら旦那さんが三朝財閥の御曹司だってことも知っているはずだし、勇人だって何度となくその話を振られたはず。そう思うと本当に申し訳ない。

「ごめんなさいね、私のために・・・」
「何言っているんだ、最初からの約束だろ？」
「それはそうだけれど・・・」

それでも、勇人に不必要な負担をかけてしまった後ろめたさは消えない。

「いいから早く寝ろよ。明日も仕事だろ？」
「うん」
「無理するんじゃないぞ。辛かったら休めばいいからな」
「わかっています」
とは言ったものの、さすがにこれ以上は休めないから無理をするしかない。

「俺は寝室のシャワールームを使うから、花音は浴室を使うといいよ。湯船につからないと疲れが取れないだろ？」
「うん、ありがとう。そうさせてもらうわ」
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