離婚前提から 始まる恋
「里佳子さんは、なぜそこにいらっしゃるのですか?」
このままでは気持ちが収まらなくて、勇気を振り絞って声にした。

「今日は2人で食事をした後ホテルのバーに行こうってことになりまして、少し飲みすぎてしまったんです。一人では部屋まで戻るのも怪しそうだったので、私が送って来ました。今何とかシャワーに行かせましたので、後は着替えて寝るだけです。昔からお酒が強い人なので、二日酔いになることはないと思います。どうぞご安心ください」
「はあ、それはどうも」

正直、どこをどう突っ込んでいいのかわからない。
里佳子さんの話をまとめると、2人で食事に行きその後ホテルのバーで飲んだ。そこで飲み過ぎた勇人を里佳子さんが部屋まで連れて帰り、シャワーに行かせた。そして、二人は今、ホテルの同じ部屋にいる。
これって普通なの?
少なくとも私には理解できない。

「あ、ごめんなさい。勇人が呼んでいますから、行きますね。何かあればご連絡しますので」
「え、あっ、里佳子さんっ」
待ってくださいと言わせてももらえず、電話は切れてしまった。
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