離婚前提から 始まる恋
交流会の午前中は室内での遊びがメイン。
毎月定期的に行っているイベントとはいえ初めて参加する子もいるので、自己紹介をしたり簡単なゲームをしたりして、友達を作るところから始める。
その間に昼食を作るのが、私や杏たち女性のメンバーの担当。
ちなみに今日のメニューはパスタやハンバーグ、オムレツやサンドイッチ、その他にサラダとデザートも数種類作りバイキング形式で食べてもらう。

「やっぱり花音の料理はおいしいわね」

子供達と一緒に私の作ったミートソースを食べていた杏が、満足そうに言ってくれた。

「フフフ、ありがとう」

杏に褒められれば作った甲斐があるし、子供達に喜んでもらえるならまた作ろうって気にもなる。
元々、手作りにこだわる母を見て育ったから、結婚したら今度は私が旦那さんのために料理を作るのだろうなと思っていた。
もちろんその時までには料理教室に行ってと思っていたのに、大学に入り一人暮らしを始めてから意外に自分でも料理ができることに気づいて驚いた。
別に母から習ったわけでもないけれど、やってみたら思いのほかおいしく出来上がった。
きっとそれは、小さいころからなんでも手作りする母を見てその料理を食べて育ったからだろうと思う。
自分でも気が付かないうちに、舌が味を覚えていたのだろう。
その証拠に私の作った料理は母と同じ味がする。
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