とある会社の色んな恋
「いい年して、シルべニアなんか集めてさ。
あれだけじゃないの、
ピンクの物とか、
みんな知ってるうさぎのキャラクター
とかも大好きで、
それがぶりっ子みたいって。
30歳すぎてイタいって…」
いちごミルク、おいしい。
甘くてほっとする。
「好きなものは好きでいいんじゃないですか?
大人だからこれを好きになっちゃ
ダメなんて、そんな法律ないので」
「でも…ちょっと引くよね?」
「他の人は知りませんけど、
僕は全然引きませんよ。
好きな物があるって
いいじゃないですか」
そんなこと初めて言われた。
「それに…
柿川さんってクールで頼りになって
何でもできて、すごいけど、
なんか完璧すぎて
最初はとっつきにくかったんです。
でも、去年、
甥っ子の誕生日プレゼントを
探しに行った時、
おもちゃ屋でシルべニアを見ている
柿川さんを見かけて……
その時の柿川さんの顔が
すごくあどけなくてかわいくて…」
「こ…声かけてよ……」
「いや、なんか、
楽しそうだったので、あはは」
原田君はコーヒーを一口飲んだ。
「あの日からずっと、
柿川さんのこと気になってました」