とある会社の色んな恋



「そんな話はいいんですよ。
それより、
服、大丈夫ですか?
何か手伝いましょうか?」

いつも通りだ。
秋野さんは自分の話は一切しない。
人の話はよくきくけど、
話題が自分の方へ向くとすぐ話をそらす。

「いえ!このままコートで隠して、
帰ります!
では、また、会社で!」
「わかりました。
また…月曜日に…」


秋野さんは会場の方へ歩き出した。

私を心配して、
わざわざ抜けてきてくれたんだ…
やっぱり優しい…

職場で唯一
私の失敗をフォローしてくれる秋野さん。

結婚していたこと以外、
彼のプライベートは
何も知らなかったけど、
今日秋野さんの私服を見れた。

婚活パーティーは散々だったけど、
来てよかった。


でも、これで終わっていいのかな?
今までずっと
恋愛には積極的じゃなくて、
結果彼氏いない歴=年齢な私。
このままでいいの…?


「あの!秋野さん!」

私は秋野さんの腕を掴んだ。

「?」
「あ…あの…えっと…その…
明日、よかったらご飯でも…
どうですか?
もちろん、予定があればその、
今度でも…
っていうか…嫌なら…
全然いいんですけど…はい…」





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