とある会社の色んな恋
「え?そうなの?
奥さん美人とか噂なかった?」
「知らない、あたし」
「部長が言ってなかったっけ?」
「え?なになに?
秋野さんが離婚?」
「なんで?」
「さーぁ?
柿川さんなら知ってるかな?
同期じゃん?」
「いやー、
柿川さんってそういう話興味なさそう」
なぜかあの話が広まっていて、
職場はこの話でもちきりだった。
「秋野さん、
浮気したんじゃないのー?」
「モテるもんね~」
どういうこと…
なんで?
私は、部屋の入り口で立ちすくんだ。
「信じてたんですけどね」
後ろから声が聞こえて振り返ると、
秋野さんが暗い表情で立っている。
「違うんです!
私じゃない!」
「……」
秋野さんのがっかりした顔を見て、
私は心が痛くなった。
「本当に違うんです!信じて下さい!
だって私、話す人なんていない…」
「デートはやめにしましょう」