とある会社の色んな恋


どうやらにこにこ弁当は、
いつも配達に来る金髪の彼と、
彼のおじいさんと
二人でやっているそうで、
そのおじいさんが昨晩倒れたのだとか。

今日のお弁当は有瀬さん一人で
作っているらしく、
すべての弁当を配達にいくのは難しい為、
わりと距離が近い客先には
取りに来てもらうように
お願いしてるみたいだ。


私はいつものように、
髪の毛を整えて、
パンプスを濡らしながら、
弁当屋へ向かった。

これは話すチャンスだ!

なんて声をかけよう…

おじいさんのこと大変でしたね…
これはいるね。

いつもお弁当の配達、ご苦労様です…
ご苦労様ってちょっと上からかな?

いつもお弁当を届けてくださって
ありがとうございます…
あ、いつも『おいしい』お弁当をの方がいいよね。


ガラガラ。

「いらっしゃいませ!」
雨の日なのに、
そこにはいつもの太陽があった。
「あ、あの…」
「ああ!城野商事の新人さん!」


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