とある会社の色んな恋


「あ…」
え?私のこと
知ってくれてる?
目だって合ったことないのに。
「こんな天気なのに、来て頂いて
申し訳ございません!
よいしょっと」

彼はカウンターに
弁当が入った大きめの袋を
2袋並べた。

「一人で持てますか?」
有瀬さんに会うのが目的になっていて、
そんなこと考えてなかった。
傘もさして、両手にお弁当さげてって無理だ。
「あ、はい…
大丈夫です」傘をさすのは諦めよう。
「サインお願いします」
「あ、はい…」

私ってばさっきから、
返答の単語しか発してない。
あれだけ言うこと考えてたのに。

「福田さん」
有瀬さんが私のサインを見て
嬉しそうに言った。
「ずっと気になってたんです。
名前何かなって」
「へっ!?」
「いつも僕が来たら、立ち上がって、
お出迎えしてくれてるじゃないですか」


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