とある会社の色んな恋
そして、私の表情を見て悟ったのか、
口パクで「出る?」と言いながら、
出口を指さした。
私は首を横に振った。
私、最悪だ。
楽しくない顔して、
清水に気を遣わせてしまった。
本当は二人きりでいられて嬉しい。
一緒に映画を見れて嬉しい。
そんな顔をしたいのに。
それに、嫌な顔したら、清水がチケット間違って買ったの
責めてるみたいじゃん。
私は深呼吸して、映画に戻った。
「うん、いい話だったな」
「まぁ…話は…ね」
最後はちょっと泣けた。
スクリーンは終始肌色だったけどね。
「あの、主役の女優、色気すごかったなー」
「だね…」
「きれいだったし」
「うん…」
だよね…
そうだよね…
男子なら、あぁいう女が好きだよね…
トイレの鏡に映った自分を見つめてなんか悲しくなった。