ハグは保健室の前で
3.
図書だより作成最終日。
「……できたっ!」
ハチマキを巻いた女の子と男の子を描いて、保健だよりが完成した。
「おお、望月、ナイス!」
吉田君が片手を挙げてハイタッチを求めてきた。こういう何気ない言動にも変に意識してしまって、一瞬躊躇う。
「あ……」
「あら、いいのができたわねぇ。2人ともお疲れ様」
はいご褒美、と小川先生が個包装されたチョコレートをくれた。ありがとうございます、と言って受け取る。
ハイタッチをしそびれてしまった。チラ、と吉田君の顔色を伺うけれど、チョコレートに夢中で読めない。
「あ、ごめんけど、ちょっと席外すから私が帰ってくるまで保健室いてくれる?」
「はい、いいですよ。望月も大丈夫?」
「うん、平気。いいですよ、先生。行ってらっしゃい」
ごめんねありがとう、と小川先生は保健室から出ていった。急にシン、と音が無くなる。
「この1週間、あっという間だったな」
「そうだね。保健だよりなんて初めて作ったから、なんか新鮮だったし」
「な。自画自賛じゃないけど、過去一良い保健だよりになったと思うよ」
「そうだね」
話しながら今日で最後なんだ、と気づいてしまって急に寂しくなる。同じクラスなんだからいつでも話せるのに、この保健室で吉田君と一緒にひとつのものを作り上げるという特別な作業が無くなってしまうとなると、なんだか悲しい。
「……できたっ!」
ハチマキを巻いた女の子と男の子を描いて、保健だよりが完成した。
「おお、望月、ナイス!」
吉田君が片手を挙げてハイタッチを求めてきた。こういう何気ない言動にも変に意識してしまって、一瞬躊躇う。
「あ……」
「あら、いいのができたわねぇ。2人ともお疲れ様」
はいご褒美、と小川先生が個包装されたチョコレートをくれた。ありがとうございます、と言って受け取る。
ハイタッチをしそびれてしまった。チラ、と吉田君の顔色を伺うけれど、チョコレートに夢中で読めない。
「あ、ごめんけど、ちょっと席外すから私が帰ってくるまで保健室いてくれる?」
「はい、いいですよ。望月も大丈夫?」
「うん、平気。いいですよ、先生。行ってらっしゃい」
ごめんねありがとう、と小川先生は保健室から出ていった。急にシン、と音が無くなる。
「この1週間、あっという間だったな」
「そうだね。保健だよりなんて初めて作ったから、なんか新鮮だったし」
「な。自画自賛じゃないけど、過去一良い保健だよりになったと思うよ」
「そうだね」
話しながら今日で最後なんだ、と気づいてしまって急に寂しくなる。同じクラスなんだからいつでも話せるのに、この保健室で吉田君と一緒にひとつのものを作り上げるという特別な作業が無くなってしまうとなると、なんだか悲しい。