恋愛はもうしないと決めたのに、次期社長にアプローチされて困ってます！

芸術品のような白い肌に、西洋人のような高い鼻、分厚い唇は赤くどこかセクシーで、切れ長の目が凛々しい。身長は百八十センチはあるだろう。スーツを着てそこに立っているだけでも絵になるような人だ。俳優と言われても疑わないだろう。

「初めまして。僕は、恋川総悟（こいかわそうご）です。宇佐美さんに仕事を教えることになりました。わからないことがあったら、何でも聞いてください。よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします……」

ニコリと微笑まれた瞬間、女性社員からの視線が鋭くなる。まるでナイフで抉られたような感覚を覚え、五月の体に寒気が走る。

「宇佐美さん？どうかした？」

「い、いえ、何でもないです。すみません……」

総悟に心配されると、さらに視線は鋭さを増す。女性社員の変わり具合に若干恐怖を覚えつつ、五月は案内されたデスクに腰掛ける。すると、隣に座っている女性社員が話しかけてきた。

「宇佐美さん、何で睨まれてるのかわからないでしょ？」

「は、はい……。でも、恋川さんが話しかけているからかなとは思います」