恋愛はもうしないと決めたのに、次期社長にアプローチされて困ってます!
「宇佐美さん、初日から仕事バリバリこなしててすごい!大活躍じゃん!」

かばんを手にした朱莉が笑いながら言い、五月も「いえいえ。皆さんの教え方がわかりやすいからですよ!」と笑いながら返す。

「明日もよろしくね!お疲れ様〜!」

「はい、お願いします!お疲れ様です!」

朱莉が扉を開けて出て行くのを見送った後、五月も帰ろうかと思いかばんに手を伸ばす。すると、「宇佐美さん」と声をかけられた。話しかけてきたのは総悟だ。

「よかったら、今から食事でも一緒に行かない?」

「えっ……」

五月の歓迎会は後日改めて行われることになっている。つまり、これは二人きりでの食事ということだと五月はすぐにわかった。

(会社の誰かに見られたらまずいし、二人きりなら断るべき……!)

そう判断した五月が口を開きかけると、「じゃあ行こうか」と総悟が五月のかばんを持つ。

「えっ、あの、私……」

「いいお店知ってるんだ。せっかくだから宇佐美さんと行きたくて」
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