プラトニック ラブ

大事な話



紗南はセイとの交際に警告をする為に、わざわざ学校まで出向いた冴木がとても苦手だった。



「……私に…何の用ですか?」



怯える眼差しは冴木の平常心を刺激する。



「いきなり呼び止めてごめんなさい。大事な話があって貴方に会いに来たの。一方的で申し訳ないけど、少しお時間あるかしら?」

「……」


「身勝手なのは承知よ。でも、今日以外の時間が取れなくて…。話はここじゃなんだから」



紗南は冴木が怖くて身体の震えが止まらない。
隣で異変を察知した菜乃花だが、冴木の威圧的な雰囲気に口を黙らせる他ない。



「わかりました。特に用事もないし時間は大丈夫です」



快く返事をした訳ではないが、冴木の『時間がない』という意味を充分理解しているからこそ渋々了承した。

< 102 / 272 >

この作品をシェア

pagetop