プラトニック ラブ

歓喜の声



教室の扉からわんさか溢れて来る女子生徒達の波によって、セイとジュンは廊下の隅へと追いやられていく。
そして、あっという間に台風のような円が描かれた。



「セイーーっ!!」
「ジュンーー!!
「きゃーーーっ」
「嘘ーっ!本物?!」
「カッコイイーーー!」



鳴り止まぬ大きな歓声は、まるでライブ会場のよう。
接近しすぎて思わず耳を塞ぎたくなる。

吸い付くように憧れを抱く熱いハートの目線。
まるで電車のラッシュアワーに遭ってしまったかのように、ぎゅうぎゅうと身体が押される。



普段ならマネージャーがファンとの間に割って入り身を守ってくれるのだが、今は誰も身を守る者がいない。

正面・横・斜めと、四方八方から手が伸びてくる。
制服をベタベタと触られ放題でも、ジッと我慢して耐える。



こんな緊急時ですら良いイメージを残しておきたいと思うのは、この先に上り詰めたいと思う精神がまだ残っているから。



「お前達、授業中だぞ。教室の中に戻れぇぇぇ」



男性教師は、廊下に足を一歩踏み出して人混みの中へと叫ぶ。
だが、KGKに夢中になっている生徒達の耳には届いていない。



異変に気付いた隣の教室からも、生徒が湧き出る始末。
次第に2人を中心として描いた円は、3重4重にもなってより一層厚みが増していった。





思わぬ緊急事態に教師達は頭を抱える。
1人の教師が常駐警備員の力を借りようと思い、職員室へ向かった。

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