プラトニック ラブ
届かぬ想い
今日まで積み上げてきたもの
退学日当日に騒動を起こして職員室でこっ酷く叱られたKGKの2人は、警備員に見届けられながら校舎を後にした。
2年間通い詰めた学校なのに、追い出されるような形での退学となった。
高校生活の最後くらいは、誰もが温かい笑顔に包まれて校門を潜りたいと思うだろう。
「俺と話をしよう」
先行くジュンの背中は怒っていた。
セイに忠告し続けていたにも関わらず、無視され続けていたのだから。
ジュンは校舎から離れ、西門より北側に位置する茂みの中で足を止めた。
ここは、校舎からも側面している道路からも死角となっている場所。
芸能科のカップルがよくお忍びで利用しているとか。
「冴木さんを待たせたくないから、手短に言う」
「……」
「何で俺の忠告を聞き入れなかった?結果がこうなる事くらい少し考えればわかるだろ」
「今日中にどうしてもあいつと話したかったから」
「今日は学生生活最後の日だったんだぞ?あんなに派手な騒ぎをやらかさないで、後で電話すればいいだろ。少しは頭を働かせよ」
「俺のスマホは先日冴木さんに没収された。今使ってる一時的なスマホも明日には返却しないと」
「え……。スマホ没収ってマジかよ」
ジュンは驚きざまに振り返った。
つい先日、冴木に2人のファイナルステージとなる視聴覚室にセイを呼び出すように頼まれていたが、スマホを没収する段階まで用意周到だったと知ると、怖くて背中がゾッとした。
「だから、ああするしか手段がなかったんだ。明日には日本を離れるのに彼女の口から別れたいだなんて言われたら、思い残しのないように何とかしたいって思うのが普通だろ?」
現実を受け入れ難いセイは瞳の輝きを失わせていた。