プラトニック ラブ
爆弾のような心
偽りの姿
ーー翌朝。
アラームよりも先に目が覚めた。
失恋が響いたせいか、昨晩はあまり眠れなかった。
布団からニョキッと伸びた手で机に置いてある手鏡を取り、寝起き顔を鏡に映し出すと、昨晩は泣き過ぎたせいか目はパンパンに腫れていた。
今日は彼がアメリカに出発する。
ネットで検索してみたら、夜便で出国するという事が判明。
でも、どの空港を利用するか、何時の便で発つのか詳細は不明だ。
彼とは昨日まで恋人だったのに、振り返ってみれば本当に恋人だったのかと疑ってしまうほど知らない事ばかり。
パジャマ姿のままリビングに向かうと、テレビに映し出されている朝の情報番組でKGKの記者会見の様子が放送されていた。
モニター越しの彼らは、多くのフラッシュを浴び、無数のマイクが口元に向けられている。
間髪入れずに飛び交うインタビューに、2人は一語一句慎重かつ丁寧に答えている。
『今回の留学目的について詳しく教えて下さい』
「TOPS時代から憧れていたマイケル リー先生の元でダンスを学べる機会が訪れたので、活動を一時休止してアメリカでダンスを学ぼうと思いました」
『音楽界でトップの座を守り続けてきたお2人ですが、今後の抱負をお聞かせ下さい』
「より高度なダンスの技を習得して、語学に磨きをかけてきたいと思います。俺はギターを、そしてセイはピアノを学ぶ予定です。いつか皆様の前でお披露目出来る事を目標としています」
食卓椅子に腰を下ろして会見の様子を見ていたが、ピクリとも表情を動かさない無表情な彼に目が止まった。
声は元気そうに振る舞っているが、哀愁漂う瞳を見た途端、前向きだった気持ちがリバースしていく。