プラトニック ラブ
懐かしい保健室のベッド
紗南はコートをハンガーラックに掛けると、2年前によく利用していた窓際から2番目のベッドに向かった。
以前、彼が占領していた窓際のベッドのカーテンは、ずっと閉まったまま。
足元にはブルーカラーが入った上履きが揃えられている。
《2ー4 設楽 純弥》
上履きにはクラスと名前が書かれている。
マークじゃないという事は、恐らく普通科の生徒だろう。
ブルーは2年生の学年カラー。
2歳差で計算すると、私が高2の時に彼は中学生。
つまり、セイくんが起こした侵入騒動を目撃してないはず。
もしかしたら、12年前に冴木さん起こした騒動の時のように、噂が人づてに渡って伝説として受け継がれている可能性もある。
彼は大雪が収まるのを待ってから帰宅するつもりなのかな。
それとも、家族が迎えに来てくれるのを、ここで待っているのかな。
寝息すら聞こえないから、寝ているかどうかさえわからない。
でも、セイくん以外の人が窓際のベッドを使用しているのは何だか少し複雑な気持ちに。