プラトニック ラブ
紗南だと確信したセイ
セイが極限状態にまで陥ってしまった理由。
それは、一橋の会話の中に出てきた女が、彼女の紗南だと確信してしまったから。
普通科から医大を目指す生徒なんて、然程多くないはずだ。
だから、もしかしてという疑問から確信へと変わった。
イライラする……。
紗南をイモだのブスだのと見下して嘲笑う一橋と、ここまで好き放題言われても、何も言い返してはいけないとブレーキをかけている自分に。
言いたい事を言えないのは生き地獄と同じ。
今はただ、我慢を重ねて時間が過ぎ去るのを静かに待つしかない。
これが、山ほどライバルが存在する芸能科に通う芸能人の宿命。
悲痛な叫びを抱えている生徒は自分だけじゃないと思うが、いまこの瞬間に口から発狂の声が漏れてもおかしくないくらい腸が煮え滾っている。