プラトニック ラブ

取り上げられたスマートフォン



冴木は突然ドレッサー上に置いてあるセイのスマートフォンを鷲掴みにした。



「急で申し訳ないけど、このスマホは今日限りで回収させてもらうわ」

「えっ!」


「手元に彼女との繋がりがあるせいで、留学の気持ちが揺らいでるんでしょ」

「いくらなんでもスマホを取り上げる必要はないだろ。その中には彼女以外にも大事な連絡先が沢山入ってるし」



セイは過去に見せた事がないほどの反抗的な態度を取った。
まるで傷口に塩を塗られた気分に。

一方の冴木は、聞く耳を持たずにセイの所持品だったスマホを鞄の中にしまう。




紗南と唯一の連絡手段であるスマホは、絶対渡したくない。
保健室での待ち合わせどころか、今後一切コンタクトが取れなくなる。


他は渡せてもスマホだけはダメだ。
もし返してもらえないのなら、せめてあと1度でもいいから連絡をさせて欲しい。

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