国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「一度、出かけないか?」

「は?」

きょとんとした表情を向ける。

「2人で出かけないか?」

「それはどういう?」

「デートと言う意味だ」

「陛下?」

戸惑った表情。だがあきらめないぞ。

「デートとはどういうことですか?」

「俺はキミに皇后になってほしいと常々言っているだろう。それは今でもかわらない。だから交流を深めたいと思っている。キミとの婚約時代はこういうことはほとんどできなかったから、今さらというかもしれないがデートというのをしてみたい。だから誘った」

「はぁ…」

「巷では観劇なるものが流行していると聞く。3日後に観劇の席を用意させたから、一緒に行きたい」

「観劇ですか?」

表情が輝いた。
見たかったのだろうか。
意外だがこんなに喜んでもらえるなら誘った甲斐があるというもの。

「それならばぜひに。とてもおもしろいそうですの。興味がありますわ」

「ああ、では、3日後にな」

「はい」

いい意味で予想外の反応にアドルフは心の中でニンマリとほくそ笑んでいたのだった。
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