国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています


「オリヴィア殿下。ライネルにいらっしゃったって本当ですか?」

「ええ。兄と祖母の元に身を寄せておりましたの」

「まぁ。よく隠し通されましたねぇ」

「本当。運がよろしいのですわね」

「強運の持ち主ですわね」

言葉の奥にはとげがある。
宮廷職員たちは懐柔できたと思っているが、なかなか貴族たちは難しい。

皇帝の息子を産んだもと反逆者の娘。
歓迎されるわけはない。

「そのようですわ。わたくしの強運はノア皇太子殿下を産んだことから始まったと思っておりますの。彼が強運を天より持ってきてくれたのだとと思いますわ」

ノアは皇太子として人気だ。アドルフにそっくりだというのもあるが、本人が素直で愛らしいのもある。

絶大な魔力を持っていることはまだ公表されていないので、側近たち以外は知らないが、将来皇帝となるこの愛らしい少年に媚を売ろうと貴族たちは必死なのだ。
同じような年ごろの娘がいる貴族となればさらに必死に近づいてきて、今日も小さな令嬢たちが大量に来ている。
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