国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
オリヴィアは今度は令息たちに囲まれているノアをちらと見て、相変わらず令嬢に囲まれているアドルフをちらと見て、そのまま少し園庭をそぞろ歩いていた。

そろそろ夕方になってきて、肌寒くなってきている。外でのお茶会も限界だろう。
あともう少ししたらお開きにしなければならないわね。

そう考えていた時だ。

「オリヴィア殿下」

女性の声がしたので振り向くと、そこにはアイリーン・マッキノンが立っていた。

「マッキノン嬢。ごきげんよう。お茶会は楽しんでいただけて?」

自分と同じ瞳の色をしている女性。
アドルフの側近で才女のマッキノン侯爵家令嬢だ。革命前は子爵家だったが、アドルフが功績をたたえ侯爵に叙爵した。

今最もアドルフに近しい女性。

「はい。すばらしいお茶会だと思います。ノア皇太子殿下のすばらしいお誕生会ですわ」

「ええ。ありがとう」

「殿下はほとんどこういう会に顔をお出しになりませんが、今回いらっしゃった令息たちは殿下に興味をお持ちの方が多くいらっしゃるようでしたわ」

殿下ってわたしのことよね?
わたしに興味を持ってる令息ですって?
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