国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「それはノアの母親としての興味かしら?ご息女をノアと近づかせたいということかしらね?」

とぼけてみる。

「まぁ滅相もございませんわ。オリヴィア殿下はまるで独身の令嬢の様にお綺麗ですもの。もちろん恋愛対象としてではないでしょうか?」

ほう。
わたしをどこかの令息と恋仲にさせたいということかしら?

「まあ。とんでもないわ。わたしはノアのことで精一杯だもの。恋愛だなんて」

さりげなくけん制しているのだ。
わたしが邪魔だから。

アドルフと自分の恋愛において。

「そんなことありませんわ。まだお若いのですもの。ほらあちらにもいらっしゃいますわ。オリヴィア殿下とお話したいという令息たちが」

振りむくと、手の届きそうな場所に、ひとりの令息が佇んでいる。
ぺこりと頭を下げたところを見ると、どうやら本当にオリヴィアと話をしようとしているようだ。

ばかみたい。

知らないうちにアイリーンが去っていったので、その令息が近づいてきた。

「オリヴィア殿下。わたくしはキーン伯爵家が長男、マリウスと申します。一度お話したいと思っておりました」

まぁ。本気なのかしら。
こんな子持ちの年増女に?
ばからしい。
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