国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「わたくしなどそのような価値もございませんわ。ご令息なら、もっとお若いご令嬢とお話されるのがいいと思いますわ。何ならどなたかお声がけしましょうか?」

「え?」

傷ついたような表情を浮かべられるとどうしようもない。
だいたいかなり若そうな令息だ。
まだ10代ではないのだろうか?

「わたしは…あなたがいいのです」

絞り出すような声で言われると…。

そして一歩ずつ近づいてくる。

うわーやめてよ。
ここは庭園の中とは言うものの、周りには今誰もいない。死角になっているし、皆からは見えないし。

「とりあえず戻りましょうか?もう寒くなってきたので解散しようと思っていましたの」

ね。と言ってそちらを向いたとたんに、手首をつかまれた。

「オリヴィア殿下。僕は…あなたをずっと恋焦がれていました。どうか…」

やめてよー。

その時だ。

「やめないか。何をしている?」

この声は…。
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