国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「オリヴィア。いつもそんなふうに笑えばいいのに」

思わずつぶやくと、オリヴィアはめずらしく真っ赤になった。

「まぁ。そんなことできませんわ。そういう教育は受けませんでしたもの」

そうか、オリヴィアが受けた妃教育は表情を出すなという教育だった。
一国の君主たるもの、そしてその伴侶たるもの、表情を簡単にさらけ出してはいけないと。

だが、それは政の場での話。
2人でいるときはもっと表情を出してもいいのに…。

「そうか。そうだったよな。けど、2人でいるときくらい笑ってくれ。というより3人か。ノアの前では笑っているだろう?俺の前でも笑っていて欲しい」

「陛下…。けれど、陛下にも言える事ですわ。陛下も表情はいつも同じ。変わりません。陛下こそもっと笑われてはいかがですか?ノアは笑っている陛下を見たいと思いますわ」

「え?」

俺が?
俺が笑ってない…。

そうかもしれないと思った。

いつも笑うわけにはいかなかった。
表情を殺していないと何をされるかわからなかったから…。
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