国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「陛下はまわりが全員敵でしたものね。仕方ありませんわね」

ぼそっとオリヴィアがつぶやいた。


観劇が終わり、外に出ると、もうあたりは夜だ。
今日は特にオリヴィアとはいろいろ話せた気がする。

眠いながらも来てよかった。

そう思った時だ。

突然どこかから、殺気を感じ取った。

待て!まずい!これは…。

まわりへ気をめぐらせる。

くそっ!オリヴィアを狙っている!

ここからか!

思ったときには飛んでいた。

オリヴィアの右側にいる自分とは反対方向の左側からその刺客はオリヴィアの心臓のあたりを狙っている。
これは矢だ。当たれば死ぬ。

どうにかして防ぐためにはオリヴィアを倒すしかない。

そう思ったときには身体が動き、オリヴィアをグイっと前に押し出して倒し、自分の腕を矢の方向へ向けた。
腕で受ければ被害は最小限に抑えられる。

「キャッ!」

オリヴィアの悲鳴が聞こえたが、どうやら回避はできたらしい。自分の腕に今猛烈な痛みが襲っている。

「きゃー!陛下!陛下っ!アドルフ!」

オリヴィアの悲鳴が続いて聞こえたが、最後の力をふりしぼってアドルフは護衛たちが刺客をとらえたところを確認し、意識を手放した。

オリヴィアのやわらかい膝枕を頭の後ろに感じながら…。
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