国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
この能力を保持していることがばれたらなおのこと。

「ノア。よく聞くのよ、その能力はとてもすばらしいものなの」

「そうなの？」

キョトンとあどけない顔で答える。

「きっともっといろんなことができるようになるわ。けれどね。絶対に人前で使ってはいけないわ」

「え？でも困っている人がいたら助けてはダメなの？」

「それは大人になったらやってもいいわ。けれど、今まだノアは5歳になったばかりでしょう？ノアが持っているその能力は『魔力』といって誰もが持っているものではないのよ。扱い方もとても難しいの。だから先生に教えてもらわなければならないわ」

「えっ？先生に？」

顔がキラキラと輝き始めた。

「ええ。先生に教えてもらって、きちんと扱えるようになってからでないと、逆に人を怪我させてしまうかもしれないわ」

「ええっ？」

そんなことを言うと、ノアは今度は悲しそうな顔になった。

「ぼく、いやだ。そんな能力いらない」

「何を言ってるの？この能力を使いこなせば、困ってる人をいっぱい助けられるわ」

「ほんと？お母さまみたいに？」

「ええ」

ノアはオリヴィアが人を助ける仕事をしていることを誇りに思っているのだ。
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