国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
10.カルトナーへ戻る


「お父様!お母様!どうか目をさまして!」

息子の声にアドルフははっと目を覚ました。

「ノア?」

あたりはボロボロになっており、もちろん古城はぶっとんでいる。
アドルフが顔を上げたその目の前にノアが傷ひとつなく、立っていた。

アドルフが顔をあげるとノアはぱっと瞳を輝かせる。

「お父様!ご無事だったのですね。よかった!」

そして自分の下をはっと見るとオリヴィアがスヤスヤと眠っており、ほっとした。

「お母さまも。大丈夫ですよね?」

「ああ。眠っているだけに見える」

「よかった」

ノアは機敏に動くと、自分の横に倒れているジュリアンを心配そうにのぞき込んだ。

「アンティラス先生はお父様とお母様を僕の魔術から護ってくださったからちょっとまだ起きられないかもしれません」

「僕の魔術?」

そういえば…
自分はピンピンしている。オリヴィアも問題なさそうだし侯爵も眠っているだけだろう。

だが、他の悪人たちはどうなった?

「ノア。他の悪い奴はどこにいったのだ?」

「僕が倒しました」

「お前が?」

「はい」

なんという破壊力。
これが6歳の子どもがやったことだというのか?
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