国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
ふと、耳に小さな声が聞こえた。
『いい子はお眠り~♪幸せにね~。アマルルの花もにっこり微笑んでる~♪』
はっ!とした。
どこかにメナードが生きている?
立ち上り、周りを見渡すと、がれきの下に顔が見える。
小さな声で唄を歌っている。
そしてアドルフを見ると、最後ににっこり笑った。
その笑顔は母親が子どもを抱いているときの顔…。
そしてそのままメナードは息絶えた。
この子守唄はただの幻想ではなかった。
メナードが自分を抱いて歌っていた唄。
いつ狂ってしまったのかはわからない。
ただ、この女がかつてはアドルフを愛し、夫を愛し、母であり妻であろうとしたことがあったということだ。
何とも言えないむなしさが胸の奥をつついた。
「お父様。この人は悪人ですよね?」
「ああそうだ」
「けれど、今悪人じゃないみたいに…みえます」
「ああ。昔は悪人じゃなかった。けれど、人は変わることもあるということだ。死ぬ直前に昔を思い出したのかもな」
「そうなのですね」
『いい子はお眠り~♪幸せにね~。アマルルの花もにっこり微笑んでる~♪』
はっ!とした。
どこかにメナードが生きている?
立ち上り、周りを見渡すと、がれきの下に顔が見える。
小さな声で唄を歌っている。
そしてアドルフを見ると、最後ににっこり笑った。
その笑顔は母親が子どもを抱いているときの顔…。
そしてそのままメナードは息絶えた。
この子守唄はただの幻想ではなかった。
メナードが自分を抱いて歌っていた唄。
いつ狂ってしまったのかはわからない。
ただ、この女がかつてはアドルフを愛し、夫を愛し、母であり妻であろうとしたことがあったということだ。
何とも言えないむなしさが胸の奥をつついた。
「お父様。この人は悪人ですよね?」
「ああそうだ」
「けれど、今悪人じゃないみたいに…みえます」
「ああ。昔は悪人じゃなかった。けれど、人は変わることもあるということだ。死ぬ直前に昔を思い出したのかもな」
「そうなのですね」