国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「オリヴィア様。イヴさんを連れてきました。彼女とわたくし3人で脱出しましょう」

「だ、脱出?」

「はい。誠に申し上げにくい事ですが、ノックス公爵閣下はお亡くなりになりました」

「え?なんですって!」

お父さまが?亡くなったと?
失脚したというのはもう死んでしまったということだったというのか。

いろんなことが突然すぎて頭が追い付かなかった。

「詳細は馬車の中でお話いたします。とにかく時間がございません。さ、はやくこちらへ、動きやすいドレスをお持ちしました。この国から、カルトナー帝国から脱出いたします」

そのあと怒涛の脱出劇があり、オリヴィアは意味も分からずコニーに従いついていくしかなく、気づけば、隣国、ライネル王国の祖母の元へ到着していた。

コニーは逃げる途中に襲われた刺客に無念にも殺害されてしまったが、ライネル王国に着くころにはオリヴィアの覚悟もとうに決まっていた。

ぬくぬくと帝国唯一の公爵令嬢として皇太子妃に昇りつめたと思った自分の身分は一気に反逆者の娘という最も不名誉なものに一夜ですりかえられてしまった。
これからは、自分の名前を隠しながら細々と生きていくしかない。

父は騙されたのだ。
おそらくバックにいるのは政敵バートランド・ヒーリー公爵。

許せない!

そして、何よりも…。

許せないのは、『アドルフ・カール・アシュハートン皇太子』。

今まで皇太子妃としての教育を必死で頑張ってきたのは何だったのか。
すべてあなたの横に立つためではなかったのか。

あんなにも…優しかったあなたは…偽りの姿だったというのか…。
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