国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
長い間混乱期にあったカルトナーもアドルフが皇帝になれば落ち着くだろう。

彼は魔力こそなかったが、その天才的な運動能力と頭脳で、荒れ果てていたカルトナーの原因である帝国民の中の革新派に目を付け、若いころから裏で少しずつその勢力を結集させていた。
アドルフにはカリスマ性があり、革新派の者たちはアドルフに次々と心酔していくのだ。

ガーリア皇帝はアドルフのそういった才能を見抜いており、長年の膿をためこんだカルトナーを変えることができるのはアドルフしかいないと考え、アドルフを皇太子に据えたのだが、もっとも大きな膿である自分の妻、メナード皇后はアドルフの弟であるランドルフ皇子を皇太子に立てるためにあらゆる触指を伸ばし続けていた。

ランドルフ皇子はメナード皇后が不倫して生まれた息子だともっぱらの噂で実の父はバートランド・ヒーリー公爵だといわれている。
表向きはガーリア皇帝の息子ということになっているが、アドルフが産まれてからは夫婦仲は冷え切っており、メナード皇后とバートランド・ヒーリー公爵は公然の不倫仲だった。
実際、ランドルフ皇子はアシュハートン皇家の魔力も持たず、容姿もヒーリー公爵と似ている。
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