国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています

さて、一連の動きを見ていたメナード皇后は最後のあがきに出た。
宮殿内でもアドルフ側の勢力が支配を強め、使用人でさえ、自分たちを恨みがましい目で見てくるのを感じ取った皇后は、ランドルフ皇子とともに夜中に宮殿を出奔し逃げてしまったのだ。

アドルフはサウザーの手前、メナードを追うことはせず野放しにした。
捕まえて殺す事は出来たが、殺してしまうとまたサウザーとの関係が悪化してしまっては困る。
カルトナーは混乱期であり、サウザーとのもめごとを起こすわけにはいかない。
メナードはその後サウザー帝国にたどり着いたという噂だ。

こうして革新派皇帝　『アドルフ・カール・アシュハートン』　は誕生した。

彼は、荒れ果てた古いにおいのするカルトナー帝国に嫌気がさしていた帝国民たちの希望として即位したのである。